居合とは?
居合には、その基本理念を表していると言われる表現(道歌)があります。
「 居合とは、人に斬られず人斬らず、己を責めて平かな道 」
分かりやすく言うと、
「 鍛錬を通して、自分の心技体を磨き上げ、勝ちに備える。
しかし、実際には刀を鞘から抜くことなく、自分を律する。
そして事前に争いを治めることを良しとする。 」
というものです。
勝負に勝つために鍛錬する。しかし、実際には勝負をしない。勝ち負けを決めない。
これは一見、矛盾しているように見えます。
しかし、この矛盾こそが居合の極意であり、意義なのです。
「居合の極意は鞘の内にあり」
この居合の考え方は、「禅」の考え方に通じるところがあります。
居合では、勝ちを求めると、勝つことは出来ない → 争いを事前に治める
禅では、悟りを求めると、悟ることは出来ない → 悟りを求める自我を消す
このように両者は、その矛盾の中に極意があると言えます。
居合について
居合には様々な流派があります。
代表的な流派として、
・無双直伝英信流(むそうじきでん・えいしんりゅう)
・夢想神伝流(むそう・しんでんりゅう)
などがあります。
他にどのような流派があるのか知りたい方は、全国居合道連盟のWebページを参照してみて下さい。
無双直伝英信流(野村派)
私(寺尾)が稽古している居合は、無双直伝英信流(野村派)です。
無双直伝英信流(野村派)は、土佐(今の高知県)から北陸に伝えられた流派です。
(野村派)とあるのは、伝えた人が野村凱風條吉先生(金沢出身)という方だからです。
土佐の無双直伝英信流と比べて、いくつかの技に野村先生が加えた独自の特徴があります。
野村先生は、明治期に土佐の居合を「無双直伝英信流」としてまとめた第17代宗家:大江正路先生、そして第18代宗家:穂岐山波雄先生から指導を受けました。
当時、すでに高齢だった大江先生からは主に精神面、技術面での指導を受け、穂岐山先生から実質的指導を受けました。
英信流居合之形 演武
第42回全国居合道連盟全国大会にて英信流居合之形の演武を披露しました。
(2016年5月、京都本能寺会館)