批判的に考える
「オレオレ」「1ヵ月で英語がペラペラ」「10日で〇キロやせる」「痛みがウソのように消える」、よく耳にしますね。
言葉には不思議な力があります。絶望の淵にいる人に生きる力を与える言葉もあれば、詐欺のように人を窮地に追い込む言葉もあります。
皆さんは「批判」という言葉を聞いて、どんなことをイメージしますか?
「文句を言う」「クレームをつける」といったところでしょうか。そういう意味で使われることの多い「批判」ですが、実は大切な働きをします。
それは「批判的に考える」ということです。
何かを知りたい、調べなくてはならない時に皆さんは多分、ネットを検索するでしょう。ネットやテレビ、広告には様々な情報があふれています。
多くの情報の中から、何を基準にして必要な情報を選んでいますか?
情報は、発信する側と受け取る側の両者がいて初めて成り立つものです。ただ困ったことに、今は情報を発信する側、つまり大きな組織や集団の発信力が圧倒的に強いため、情報の受け手である私たち個人はどうしても受身にならざるを得ません。つまり、不利な立場に置かれることが多いのです。
では、不利な立場にならないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
そのために必要なのが「批判的に考える」ということです。
「批判的に考える」とは、ある情報に接した時にそれをそのまま信じるのではなく、分析的に検討していくことです。
例えば「英語がペラペラになりたい」と思って、情報を検索するとします。
「〇ヵ月で英語がペラペラ」「聞き流すだけでしゃべれた!」などの言葉がヒットします。
次に、その言葉と真反対の考えはどんなものかを考えます(「短期間では英語は上達しない」「聞くだけでは英語はしゃべれない」など)。
ネットで見つからなければ、書店などで本を探すのもいいでしょう。
こうして相反する考え方の両方を比較検討して、金銭的・時間的・能力的に自分にとって実現可能な選択肢を絞っていくのです。
その際に、自分一人で比較検討するよりも、友達や家族と話し合いながらの方が効果的であることは言うまでもありません。
つまり「批判的に考える」とは、何かを選択する時に、相反する考え方があることを考慮に入れて合理的な判断・選択をするためのツールなのです。
このツールは「〇日で批判的な思考が身につく!」というものではなく、日頃から意識的に情報を分析・検討するように心がけることが大切です。そして、その習慣を最も身につけやすいのが、比較的時間に余裕がある学生時代です。
(福井大学附属図書館報「図書館fórum No.13 平成28年3月発行」より)