ゼミ生への一言
2007年度の主免実習(教育実践研究Ⅲ)が終了しました。
この実習では、3年生が附属学校で子ども達を前にして教室で実際に指導する経験をしました。
飛行機の飛行に例えると、現在の状態は滑走路を走り、後輪が地面を離れ、機体が浮き、今まさに上昇中ということになります。
エンジンを吹かして滑走路を走り、スピードを上げ、揚力を得る準備をするのが、大学での事前の学習です。
実習までに、大学で受けた講義や実践的な学習で頑張っていた人は、実習で手応えを感じたり、苦労はしたけれども向上への手掛かりを感じたと思います。手を抜いていた人は、苦労したのではないでしょうか。
教師になるために成長できるかどうかは、「主免実習後の学習での熱意」にも大きく左右されます。
もう一度、飛行機の飛行に例えます。
主免実習後の現在の状態は、離陸直後の上昇飛行の体制です。
これからどれだけ上昇できるのか、安全に飛行できるかは「これからの機体の整備と操作の上手さ」にかかっています。
4年生の6月に行われる副免実習(教育実践研究Ⅴ)が成功するかどうかは、「主免実習以後6月までの学習の成果」にかかっていると思います。それまでに「幅のある伸びシロ」をどれだけ確保しておけるかが、非常に重要です。
6月の副免実習で「自分のこれまでの学びの成果を応用し、自分の力としての定着を確認しながらの意図的・計画的な実習が展開できるか」、それとも「単に経験を重ねるだけか」では、教師としての成長に大きな差が出ることでしょう。
教師としての「実践的力量」は、「専門科学の力」と「教科教育学の力」の2つを、いわば車の両輪とするかたちで養われます。
「社会科教育」を卒論の分野として選ぶと、「社会科に関わる専門科学」と縁を切ってしまったように感じているかも知れませんが、そうではありません。
今回の実習で分かったかも知れませんが、「よい授業」は、地理、歴史、公民に関する文献やフィールドワークをもとにした「豊かな教材研究」の上に築かれます。
そこでは「何を」「子どもに」「どう教えるのか」という教育的視点はもとより、「学問的に裏づけられた知識を」「どの様な探究的な手法(調べ方や学び方)で」「追求的に学習させるのか」ということについてのセンスが、強く求められます。
私(寺尾)の学生時代
私(寺尾)も大学に入学したときは、みんなと同じように社会科教育学など知りませんでした。日本史や地理が大好きだったので、卒論では日本史を選択しようと思っていました。
しかし1年生のプレゼミで、社会科コースの多様な学問分野を知っていったとき、社会科教育学の印象が強烈で「大学を卒業してからの自分の姿を構想する機会」も提供してくれたのです。
社会科の教員になって、文学部や経済学部の出身者の教員がいる中で、自分のオリジナリティを示すとすれば「自分を差別化できる資質を身に付けておく」のが、教育学部出身者に一番よいのではないかと考えるようになりました。
「人が身に付けていない資質をもっているところ」に、自分が活躍したり、貢献できたりする場面があります。貢献を認めてもらえれば、それは自分を認めてもらえることにもつながります。
また、小学校の教員となったときのことを考えると、職場には理科や算数、国語や音楽などの他教科の分野を専攻した人がたくさんいます。その中で、社会科教育学を深めておけば、「社会科はこのように指導すればよいのです。」とアドバイスしてあげられ、逆に負い目を感じることなく「代わりに理科の指導の仕方を教えて」とか「その代わり、国語の指導の仕方を教えて」とかいったように、互いに教え合うことが可能になります。
可能にするのは、社会科を「子どもに教える・指導する」ということへの「限りない自信」であると思っています。
話を元に戻しますが、社会科教育学分野専攻の学生にも、専門科学の勉強がぜひとも必要です。
私が社会科教育学を専攻するようになって指導教官に最初に言われたのは、
「歴史や地理で卒業研究をしないにしても、何か専門科学の一分野で卒業研究を行った人と同じぐらい専門を深めること。違いは卒業論文を書かないことだけぐらいのレベルまで深める。」
ということです。
結果的に、私は日本史を深めたのですが、文学部にまで出かけて日本史、世界史の他学部履修をしていました。大学院では、カリキュラムの上でも文学部の日本史専攻の大学院生と同じ授業や演習を受けるようになっていましたが、指導教官に助言された学びの方向が、指針となっていました。
教育学部での学び
私の考え方では、教員になる勉強をする教員養成系学部における専門科学へのアプローチは、文学部などとは異なるように思います。
教員養成学部では「追加のワンステージ」を求められます。
社会科に関係する「専門科学」を深く学んだ上に、さらに「教育」ということを考えなければならないのです。
「専門科学の成果(知識と方法)」を「教育」のフィルターで濾過し、「教育的に洗練されたもの」を子ども達に提供しなければならないのです。
あるいは「子ども達自身が獲得していくような探究過程」を用意し、歩みを支援しなければならないのです。
社会科教育学専攻のゼミ生は、
「卒論は書かないが、一分野において卒業研究をすると同じぐらい学問的研究能力を磨く!」
ということを頭において、専門科学の勉強を深めていって欲しい。
( 誤解しないこと。「だったら一分野の専門科学だけ深めればよいんだ」と考えないこと!社会科教員としては、すべての専門分野を深めることが必須です。卒論までのレベルを考えるか・考えないかだけの違いです。)
では、社会科教育学の観点から、具体的に専門科学をどう学んでいけばよいのか?これについては、これからゼミで学習していきます。
当面、ゼミ生は社会科実践プラン構成論の授業では、上に書いたような、この分野の学習の方向についての意識をもって、参加と取組みをしてもらいたいと思います。